なんとかならないもんかね

自公両党は「長時間労働の是正」をいうなら裁量労働制の規制緩和はやめるべき

 公約には書かれていないが、自民・公明与党がまとめようとしている「働き方改革推進法案」には、「企画業務型裁量労働制の対象業務拡大」と「高度プロフェッショナル制度創設」といった労働時間法制の規制緩和が盛り込まれている。

ここでは、法「改正」がなされた場合の影響が、より大きいと言われる「裁量労働制」の拡大政策についてみておきたい。


裁量労働制は、あらかじめ一定時間を働いたものとみなし、実労働時間に基づく時間外労働の割増賃金支払いをしない制度である(労働基準法第38条の3および4に基づく制度)。

労働時間について裁量を与えるとはいえ、仕事の内容や期限、遂行方法の自己決定権は与えず、業務遂行の途中で追加の仕事が命じられることも少なくない(図1)。それでいて、実労働時間にもとづく割増賃金支払い義務もないので、当然のごとく、一般的な働き方よりも長時間労働となる傾向にある(図2)。


制度上は、当該業務をこなすための通常の労働時間より短い「みなし労働時間」を設定してはならないことになっているが、多くのケースで「みなし労働時間」は実際の労働時間よりも短めに設定されている。つまり、残業が発生しているわけだが、残業相当の手当は支払われていないケースが少なくない(厚労省調査では4割は手当なし)。


 政府や推進派の人々は、「ガチガチな労働時間管理から離れて、労働者自身が自由に時間を使って働ける」とか、「早く仕事が終わったら、早く帰ることができる」から長時間労働の是正になるというが、これは現実と異なる話ということだ。
実際には、この制度を導入する多くの使用者の狙いは、労働者に働き方の裁量を与えることではなく、「残業代を払わずに自己責任で長時間働かせること」におかれている。その証拠に、制度の要件に反して出退勤時間を指定したり、コアタイムを設けるなど、労働者の裁量にしばりをかける事業所が少なくない(図3)。


裁量労働制には、現在、専門業務型 (19業務)と企画業務型(本社の企画・立案、調査・分析業務)がある。導入事業所ごとに専門業務型は労使協定を、企画業務型は労使委員会を設置して要件となる事項を決議し、それぞれ所管の労働基準監督署に届ける必要がある。これら厳格な手続き規定があることから、制度はいまのところそれほどは普及しておらず、事業所規模1000人以上の企業でも専門業務型が10%、企画業務型が5%程度である。


働き方改革推進法案では、この企画業務型裁量労働制を、法人向け営業や本社以外の事業所の企画や管理業務にも広げ、手続きも簡素化しようとするもの(表)。連合執行部の意見をうけて、2015年時点の法案から修正をしているが、およそ働き過ぎの弊害をなくすような修正とはなっていない。


自民・公明与党は「長時間労働を是正する」、「過労死の悲劇を二度と起こさない」(安倍首相の国会での所信表明演説)というのなら、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大や、導入手続きの緩和をする法案は、撤回するべきだ。


表 企画業務型裁量労働制の対象業務拡大(働き方改革推進法案要綱・第一の五)


〇新たに追加する対象業務

①「事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該事業の運営に関する事項の実施状況の把握及び評価を行う業務、

②「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務」を追加する。

※①は定義があいまいで使用者の解釈の余地が広く、行政は指導監督などできないようにしてある。

②はよくある「課題解決型提案営業」との区別があいまいで、対象を広げやすい。今回「企画立案調査分析を主として行うとともに」として、普通の営業販売職との違いをつけたというが、司法判断でようやく決着をつけるような定義では、濫用を防ぐことはできない。



対象者の限定

対象は勤続3年以上とする(省令事項)。

※裁量など発揮しえない新卒労働者を裁量労働にしない点は当然のことだが、勤続3年を超えたとしても、仕事をコントロールしたり、人を採用する権限は得られない。



〇導入の手続き要件

導入には「労使委員会」の5分の4以上の決議が必要。委員会は事業場単位でなく本社一括方式(要件緩和)。健康確保措置は、勤務間インターバル、上限規制、年休以外の有給休暇付与、健康診断のいずれかひとつ。行政への定期報告義務はなくす(要件緩和)。

※インターバルと上限規制と追加の有休休暇付与などがすべてセットであるならばともかく、ひとつ選択では、健康確保などできない。



〇使用者が始・終業時刻を指示してはいけないことを今回、ようやく法律に明記する。

※罰則はつけていない。守らなくても、制度が無効とまではされず、守られない可能性が高い。


法案要綱より。下線は2015年法案から修正されたところ


図1 裁量労働制でも、仕事の進行中に追加の仕事が命じられる。




資料:労働政策研究・研修機構「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査・労働者調査」(20146月)


図2 裁量労働制に多い長時間労働



資料:図1に同じ



図3 裁量労働でも出退勤管理をする違法が蔓延



資料:図1に同じ



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# by tomzoy | 2017-10-19 19:43 | 社会・時事

安倍首相が「働き方改革」を言わなくなった理由

 総選挙も終盤。各党の政策に注目が集まっている。気になるのは、安倍首相が、前回の参院選以降、あれほど強調してきた「働き方改革」を言わなくなっている点だ。自民党は、選挙前の9月19日、党内の厚生労働部会を開催し、臨時国会にあわせて急ピッチでまとめさせた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を取り上げた。しかし、部会は国会への提出を了承する手続きを見送り、法案要綱の閣議決定は先送りされた。あれだけ強調してきた課題を、法案としてまとめたのだから、普通なら閣議決定して選挙でアピールするだろう。ところが、そうしなかった。理由としては、臨時国会が流れて急ぐ必要がなくなったとか、衆院解散が確定したので議員が地方に帰ってしまい部会の参加者が少なかったとか、時間外労働の上限規制案が中小企業に与える悪影響を懸念する意見があげられたからと報道されている。しかし、これらの理由は本筋とは思えない。

 参院選前に、あれだけ喧伝した「働く人の立場に立った政策」としての「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」など働き方改革の目玉商品について、安倍首相が言及しなくなった理由はなにか。それは「看板」だけで中身が具体化されていないときには、労働者の支持を得るために口先でなんとでも宣伝文句をふりまくことができたが、今や法案がまとまり「働き方改革」の内容が明らかになったので、「きれいごと」を言えなくなったからだ。それほどまでに「働き方改革」は労働者の期待を裏切る内容だということだ。

 自民党の選挙公約をみると、強調はされてはいないものの「働き方改革」の言葉は書いてある。しかし、その記述はきわめてあいまいで、既に進めている具体的政策のうち、特定のものは触れないようにしている。
 例えば公約には「働き方改革を推進することで、長時間労働を是正するとともに、賃金などの待遇について、雇用形態ではない職務内容によって公正に評価される仕組みを導入する」とある。その下の箇条書きにも「長時間労働の是正や『同一労働同一賃金』の実現など多様なライフスタイルを実現する働き方改革を推進するとともに、最賃1000円を目指す」とある。両方に「長時間労働の是正」という言葉が繰り返し書かれているのだが、今の日本社会にとっての大問題である、「どのようにして長時間労働を是正するのか」は書かれていない。かたや「職務内容によって評価される仕組み」などといった、企業内の人事労務管理に属することに、政治が踏み込んで具体的な提案をしているのに、長時間労働問題への対応は、なにも書かれていない。とてもバランスの悪い公約だ。

 実際には、自民党は長時間労働問題への対応について具体的な提案を法案にまとめている。自民党の「長時間労働是正策」は、労基法にあらたに時間外労働の上限規制を導入するというもの。それも単月100時間未満、年間で720時間、休日労働も含めれば年間960時間という残業を合法化するというものである。年間でみた合法な労働時間の上限を(法定所定内労働時間2085時間プラス960時間)3045時間とするということだ。過労死ラインを超える労働時間であることは言うまでもない。
 上限規制が「名ばかり」であることに加え、「企画業務型裁量労働制の対象業務拡大」「高度プロフェッショナル制度創設」などの規制緩和の政策も進めようとしている。裁量労働制といえば、長時間労働の温床であることが、厚生労働省の調査でも判明している。現実には、早く仕事をおえて自由に早退できる裁量のある制度などではないのだ。さらに高度プロフェッショナル制度ときたら、労働基準法第4章の労働時間、休憩、休日、時間外・深夜割増し規制などを全面的に適用除外する制度の創設というのだから、長時間労働を促進するのは間違いない。「健康確保措置」と呼ばれる選択肢型の要件を守ったとしても、あるパターンでは1日24時間労働の連日勤務で年間6000時間もの労働をさせることが法的に問題なしとされる。2015年の法案上程以来、野党も労働組合も一貫して反対をしている規制緩和策だ。正直にこれらを書けば、普通の人ならば公約には、ウソがあると考えるのではないだろうか。

 「同一労働同一賃金」も同様だ。その実現が公約に書かれているが、実は法案には「同一労働同一賃金」という言葉はひとこともない。法案に書かれているのは、従来の労働契約法やパート法にあった「均等・均衡待遇」の法規定の整備でしかない。整備というのは、あらたに有期労働契約の労働者にも「均等待遇」規定を適用することと、派遣労働者においても、同様の「均等・均衡規定」の適用をすることだ。しかし、従来のパート法や労働契約法で均等・均衡待遇が前進したなどという話はあまり聞かないだろう。労働組合が強力に交渉してやっと格差是正を進められている状況で、裁判をしても、ほとんど改善につながらないのが日本の均等・均衡待遇法制だ。
 「『同一労働同一賃金』と政府が言う以上、賃金格差の解消に効果があるはず」と思われるかもしれないが、法案をみれば、現在、同じ職務・職責をになっているとしても、将来における人材活用上の位置づけに違いがあるなら、正社員と非正規社員との間に賃金格差をつけても不合理とはいえない、という規定ぶりになっている。いわば「同一労働であっても格差賃金を法的に容認する」法整備なのである。当初、安倍首相の「非正規という言葉をなくします」という宣言を、素直に受け取り、期待をした非正規労働者の活動家たちは、裏切られたと怒り心頭だ。

 「テレワーク、副業・兼業」を広げる政策についても、ごまかしがある。「女性・若者・高齢者、障害や病気のある方やその家族」の社会参加を可能とするという文脈に限定した書き方で、さも病気や介護育児などの理由から自宅で働きたい人のための制度整備をするかのようなイメージをもたせようとしているが、実際に検討されているのは、労働時間の裁量労働化と「非雇用型」をひろげる突破口としての「テレワーク、副業・兼業」の促進である。テレワークの便利さばかりを言い立てながら、その過程で、みなし労働時間制の適用・運用の緩和や、「副業・兼業」においては事業主を異にする複数の事業場で働くマルチジョブホルダーに関する「労働時間の通算制度」の見直しをしようと狙っているのである(このあたりは、現在検討中。現行法制では、副業の場合でも時間外割増賃金の支払い義務は発生するが、それをなくそうとしている節がある)。これらの政策の狙いは、労働時間規制を緩めるということだけにあるのではない。労働時間の管理も受けず、いろいろな企業とお付き合いし、仕事を請け負う働き方を広げる……つまり「雇用されない働き方」を「普及」させることに、国は、雇用政策のかじを切ろうとしている(あまり注目されていないが、自民党の厚生労働部会が選挙前の閣議決定を了承しなかった一括法案のなかには「雇用対策法の見直し」も含まれており、その中に「普及」と書かれている)。
 労働法の適用を受けない労働者など、労働者からすれば長い労働運動の歴史を18世紀に逆回しした悪夢でしかないが、使用者からみれば、雇用責任を果たさずに、仕事をさせられる夢の働き手ということになる(もちろん長期的にみれば、これは使用者にとっても毒薬なのだが、短期的にはコストダウンをもたらすだろう)。従来であれば、厚生労働省は、雇用類似の働き方をしていれば、使用従属性をそこに読み込み、労働者保護をかけるという対応をとってきた。2007年のバイク便運転者の事例などがそれにあたる。しかし、今の厚生労働省の方針はそうではない、非雇用型を含めた「多様な就労形態を普及」するというのだから、雇用政策を大転換しようとしている。自民党・公明党は、こうした方向性をはっきりとは説明していないのではないか。

 ほかにも多々あるのだが、「働き方改革」は「労働者の立場に立った、働きやすくてワーク・ライフ・バランスのとれる社会環境づくりをする改革」などではない。使用者が、雇用責任を果たさずに労働力を都合よく使いまわし、使いつぶすことができるようにするための、労働法破壊改革だ。これまで安倍首相が国会などで強調してきたこととは異なる政策が着々と進められていて、それを労働者に気づかれたくないというのが、自民党・公明党の本音ではないか。だから、総選挙でふれない。いわば、与党の弱点がそこにある。
 野党各党は、政権与党の弱点である「働き方改革」のまやかしを、選挙中に、もっと暴き立てるべきではないか。

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# by tomzoy | 2017-10-16 12:33 | 社会・時事

政府が発表した「同一労働同一賃金ガイドライン案」について

2016年9月。国会での所信表明演説で、安倍首相が「同一労働同一賃金」を語りだしたのには、驚いた。労働者ばかりか経営者も驚いたことだろう。2015年の国会での法案審議の場で「日本には、この考えはなじまない」といって、野党の要求をはねのけていたからだ。

突然、野党の政策を取り込んだ安倍政権は、日本における正規と非正規の間の賃金格差がヨーロッパ諸国より大きい点を問題とし、「不合理な格差を是正し、非正規社員の待遇を改善させる」と言いはじめ、非正規で働く多くの労働者は、要求が政治に反映された、と期待をよせた。

ところが、1220日、政府が「働き方改革実現会議」で発表した「同一労働同一賃金のガイドライン案」には、「ガッカリ」「裏切られた」との声があがっている。


基本給格差は経営者の思い通りに

特に批判が集中したのは基本給の格差についてだ。

ガイドライン案では、①職業経験・能力、②業績・成果、③勤続年数、④勤続による職業能力の向上など、賃金支払いの際に考慮される基準に照らして、無期フルタイム労働者と有期・パート労働者との評価が同じなら、同一の賃金を支給しなければならないとしている。ところが、その原則を確認すると同時に、同じ仕事をしている労働者の間でも、今後の見込みとして、配置転換や転勤、職務の内容、人事異動による役割の変化の範囲に違いがあれば、賃金に差をつけてよしとした。労働契約法、パート法にある、企業の「人材活用の仕組み」の違いによる差別正当化だ。その具体例として、管理職コースの新卒正社員の賃金より、その社員に仕事を教えている熟練パート労働者の賃金が低いケースをあげ、問題がない事例とした。これに対しては、「将来が保障されているわけでもないのに、コース別人事管理の違いで格差を正当化するなら、今までと同じ。賃金差別容認ガイドラインだ」「今の労働契約法20条、パート法8条9条についての最悪の法解釈を提示した」との批判がわきおこっている。政府は正規・非正規間の賃金格差をヨーロッパ並みに近づけるといったが、指導者格の熟練パート労働者に、新卒正社員の初任給を下回る賃金を支給するのを認めるということは、本気で賃金底上げをするつもりはないということだろう。

格差是正が本気でないという点に関連して指摘すると、 ガイドライン案の「留意事項」には、「『無期雇用フルタイム労働者』には、正社員以外の無期フルタイム労働者も含む」としてある。有期・パート労働者との比較対象を、正社員におかず、たとえば労契法の無期転用措置によって非正規の処遇のまま無期契約となった労働者も含めれば、当然、賃金格差は小さくなる。姑息なゴマカシだ。


人事評価にもとづく今の賃金格差を是認。賃金差の合理性の判断は使用者まかせ

使用者の裁量で行われる能力や業績・成果などの人事評価の結果に違いがあれば、「相違に応じた賃金差をつけなければならない」とした点にも、問題がある。「相違に応じた差」とは、評価の相違を超えた大きな賃金格差はあってはならないという意味だが、どの程度の賃金差が合理的とみなされるかの判断基準は、何もふれられず、経営者任せとされている。たとえ正規の賃金の4割程度という低賃金でも、「わが社の評価基準ではそうなる」と経営者は言うだろう。

ILOが推奨し、先進諸国で運用されている「同一(価値)労働同一賃金」の考え方は、個々の経営者の勝手な判断に委ねないよう、客観的な指標に基づく「職務評価」の方法を示し、公正な処遇の実現を目指している。これに対し、安倍政権のガイドライン案は、使用者まかせの「人事評価」による格差賃金の徹底を公正なものと認識している。この違いは大きい。同じ「同一労働同一賃金」という言葉を使いながら、ILOとは方向性は逆で、日本経団連のめざす、賃金の個別管理化の方向を志向している。


さらにひどいのは、これほど経営者の裁量に、合理性判断を徹底的に委ねながらも、格差是正の裁判が起きた場合、経営者側に格差の合理性を立証する責任をおわせる、という視点の痕跡もないことだ。これについては、検討委員会の中心的な委員が強い問題意識をもっておられたはずなので、安倍政権が、使用者側の意向をうけ、それをにぎりつぶしたということだろう。


ILOが推奨する「同一(価値)労働同一賃金」原則とは

同じ職務であれば同一賃金は当然のこと、職務が違う場合でも、職務ごとに求められる①知識、技能・技術、資格の違い(職務知識、コミュニケーションの技能、身体的技能)、②負担の違い(感情的負担、心的負担、身体的負担)、③責任の違い(人に対する責任、ものに対する責任、財務責任)、④労働環境や心理的負荷の違いといった、「客観的な判断基準」(経営者の恣意的な評価基準ではなく)にもとづいて職務評価を行い、賃金に差をつけるにしても、合理的な範囲にとどめなければならない、とするもの。安倍ガイドライン案のように、使用者の裁量で行う人事評価の結果にもとづいて、労働者の処遇に差をつける、などという発想ではない。


■手当や福利厚生面は改善?

 各種手当や福利厚生についてのガイドライン案は、有期・パート労働者に一定の実利をもたらすことが期待されるとの好意的な報道もなされている。手当や賞与支給、社員食堂の利用について不当な差別がある職場は多く、活用できる部分は、大いに活用したいところだ。しかし、そうした目線でガイドライン案を検討してみると、職場でしばしば話題になる住宅手当、家族手当、そして金額の大きな退職金が見当たらない。意図してはずしたのか、検討もれか?不明だが、大きな欠陥といわざるをえない。

 なお、活用できる面があるとはいえ、ガイドライン案について「改正」と表現するのは無理があると考える。手当等に関するガイドライン案の内容は、現行の労働契約法20条、パート法8条、9条の範囲を超えるものではないからだ。むしろ、前回の労契法・パート法改正後、今日まで指針を策定してこなかったことが問題である。そのおかげで、非正規雇用労働者が、労契法20条裁判をおこさなければならない事態にいたっているのだ。

 もともと検討委員会の委員も、今回は現行法のガイドラインづくりであり、法改正はこれから検討すると言っていた。現行法のガイドライン案であるにもかかわらず、「法改正が必要」などと中間報告に書かれるようになったのは、改正を大ごとにみせ、かつ、抜本改正を封じ込めるための官邸の思惑によるものだったのではないか?と推測する。


 

■今国会で、労働契約法・パート法に「格差の合理性の立証責任を使用者におわせる」改正を

 政府は、早急に「ガイドライン案」に関する法改正をするといっている。差別禁止の抜本的な法改正をする前に、当面、①ガイドライン案における、人材活用の仕組みに関する不当な具体例を削除すること、②労働契約法とパート労働法について、待遇に格差を設ける場合の合理性の立証責任を使用者におわせるものとする法改正を行うこと、③企業横断的な格差是正と賃金底上げに最も効果がある全国一律1000円以上の法定最低賃金制度の確立をおこなうこと。これらを求めたい。


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# by tomzoy | 2017-01-28 12:36 | 社会・時事

バス事故はなぜ?繰り返される事故の原因と対策を考える」市民集会2017年1月28日(土)午後1時30分~、弁護士会館にて

2012年4月に関越自動車道において46人が死傷した事故が発生した。国による再発防止策は、役に立たなかった。

バス、トラック、タクシー業界の規制緩和による過当競争・コスト削減競争が、労働者の労働条件を悪化させたことが主な原因と指摘されている。

このような悲惨な事故が二度と繰り返されることのないよう、原因と対策等を考える集会。

交通・運輸業の規制緩和は失敗だった。国土交通省は規制強化に転じるべき。
同時に、労働時間の法的規制強化が必要。政府は、検討中の労働時間規制強化(労働基準法改正)の案において、交通・運輸を残業時間の上限規制の適用から除外する方針ともいわれているようだが、もっとも酷い状況に陥っている産業にこそ、規制強化をはかるべきだ。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/event/data/2017/event_170128.pdf


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# by tomzoy | 2017-01-26 11:27 | 働くこと・労働組合

安倍政権の「働き方改革」をどうみるか?

 安倍政権が掲げている「働き方改革」は、「抱き着き戦略」と呼ばれている。それまで野党が掲げ、与党としては反対してきた政策課題を、自ら掲げてみせたからだ。8月3日、内閣改造と自民党役員人事が発表された記者会見で、安倍首相は、「最優先課題は経済」と述べて事業規模28兆円強の経済対策をアピールするとともに、「働き方改革」を大きく位置付けてみせた。

「最大のチャレンジは、『働き方改革』。長時間労働を是正する。同一労働同一賃金を実現し、『非正規』という言葉をこの国から一掃する。最低賃金の引上げ、高齢者への就労機会の提供など、課題は山積している。今回新たに働き方改革担当大臣を設け、加藤一億総活躍大臣にその重責を担っていただく。加藤大臣のもと、『働き方改革実現会議』を開催し、塩崎厚労大臣と緊密に連携しながら、年度内を目途に『働き方改革』の具体的な実行計画を取りまとめてもらう。スピード感をもって実行していく」。

 安倍首相は、このように述べ、その遂行にあたっては、厚生労働大臣のほかに、「働き方改革担当大臣」を置くという異例の閣僚人事を行い、今後の労働政策は、「働き方改革実現会議」での議論をベースとして、「国民運動的」に進めるとした。官邸発の「働き方改革」関連のニュースは、労働者の要求に沿った課題が切り出されて報道されており、労働者の中に、政権への期待を広げることに成功しているようだ。
 
 しかし、安倍政権の「働き方改革」は、労働条件のほんのわずかな底上げを講じてみせつつ、全体として見れば、雇用・労働条件の大幅な劣化につながる猛毒を仕込んだ「使用者のための働かせ方改革」だ。改革課題の一覧の中に、労働者の要求を汲み上げて規制強化を検討するかのような表現があるにもかかわらず、実際に検討されている政策の内容や、その先に政府が描く「未来の働き方」は、労働者の要求に程遠いどころか、雇用・労働条件を劣化させる方向を目指している。

 例えば長時間労働の是正のテーマ。「残業の上限規制の検討」を掲げながら、労働時間の規制が適用除外される「柔軟な働き方」を実現し、「残業代ゼロで働かせ放題」を合法化する仕組みを手に入れようとしている。転職・再就職支援・人材育成のテーマでは、「解雇の金銭解決制度」(裁判で解雇無効となっても一定の金を払えば解雇できるとする解雇自由法制)の法制化とリストラに対する助成金、人材ビジネスに課している規制の緩和で雇用の流動化を進め、不安定雇用を典型労働にしようとしている。それによってワーキングプアが増加することへの対応として、最低賃金の若干の引き上げや格差是正の提案はしつつ、労働者全体の平均賃金は下方均衡するだろう。労働力不足対策では、国家戦略特区制度や外国人技能実習制度・入国管理制度、税・社会保障制度、高年齢者雇用安定法の見直しによって、女性・高齢者・外国人も含めた広範な労働力調達の仕組みを整えつつある。

 結局、安倍政権は、発足当初から一貫して「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりを目指しており、「岩盤規制」である労働法制に対する安倍首相の「ドリルの刃は、依然として高速回転中」(9月21日ニューヨークでの講演)なのだ。
「働き方改革」という言葉のやさしさとは裏腹に、雇用・労働条件の足元が崩されようとしている重大な局面にあることを、多くの人々につたえなければ。
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# by tomzoy | 2016-10-16 23:22 | 社会・時事

労使関係の在り方の評価をめぐる厚労省有識者会議のちょっとおもしろいやり取り

厚生労働省の第22回政策評価に関する有識者会議(2016年3月17日)の議事録をみていたら、労使関係の在り方の評価をめぐって、ちょっとおもしろいやり取りがなされていた。

○野川忍委員(明治大学大学院法務研究科専任教授)
労働・子育てWG関係で(略)、質問させていただきます。労使関係の問題ですが、この施策目標は、「労使関係が将来にわたり安定的に推移するよう集団的労使関係のルールの確立及び普及等を図る」ということが施策目標に掲げられています。測定指標の1に、労使関係が「安定的に維持されている」及び「概ね安定的に維持されている」と認識している労使当事者の割合という測定指標がございます。この設定の根拠で、このように「本指標を測定することで、集団的労使関係が安定的に推移しているかどうかが直接的に確認できる」という認識でおられるようですが、これは若干、私はミスリーディングではないかと思います。
 というのは、労使関係が安定的に推移しているかというのは、実は主観的な指標によっては測れないものです。これは人間関係と比べてみればよくお分かりになると思いますが、人間関係であれば、その当事者の間で当該人間関係が安定的に推移しているかどうかは、本人たちが「はい、安定的でとても幸せでございます」と言っていればいいのであって、他人がとやかく言うことではない。(略)

労使関係はそうではない。例えば、いろいろな所で実際にあり得ますが、ある労働組合が、我が労働組合は我が社の第2人事部であることを自認しているとします。したがって、団体交渉の要求などはしないという念書を入れている。争議行為については、もちろん決してしないということを誓っている。これは実際にいくらでもありますよ。そして、会社のやることに対して楯突くような組合員がいれば、まずは組合からそういう者に対してサンクションを与えるということをしている。それで労働組合としても非常に満足しているし、会社のために尽くしていて、会社はもちろん満足している。これは、この指標ではプラスに評価される。これは、しかし、明らかに労使関係が安定的に推移しているという評価にはならない。これ、お分かりですよね。労使関係の安定というのには、日本においては理念型若しくはプロトタイプが明確に存在しております。よろしいでしょうか。

 つまり、労働組合は使用者から独立していて、団体交渉をコンスタントに要求し、労働協約をきちんと締結し、場合によっては争議行為もあるというのがまっとうな姿です。もちろん、お互いが信頼関係を持っていれば一番ですね。つまり労使関係は人間関係と違って、両当事者が安定的であると認識していることは、決して施策の評価として、その労使関係が安定的に推移していることにはならないという点について、どうお考えなのかを伺いたいと思います。

○高橋紘士座長(一般財団法人 高齢者住宅財団理事長)
 非常に厳しい議論ですが、どうぞ。

○労政担当参事官室参事官
 労政担当参事官室の青山でございます。大変、厳しい御指摘と言いますか、非常にもっともな部分があるかなと思って、聞いておりました。確かに本来、労使関係の場合、労側、特に労働組合というのは団体交渉権や争議権も持ちながら交渉する立場でありますので、安定していると思っているだけで、実際は安定しているかということはあるのですけれども、ただ、我が国はたゆみない労使の皆さんの努力により、団交とか争議という経過も踏まえながら労使協議制というのも一方で発達しながら、安定した労使関係を築いてきた慣行がありますので、そういう労働組合対使用者という関係がありながらも、その中で醸成された、先生がおっしゃった信頼関係というものは大切だと思っています。その場合だけが統計に表れるわけではないのですけれども、少なくとも日本の労使の状況を考えると、そういう労働組合があり、使用者がありという対立も含んだ中にあった中でも、安定したと真に労使関係として認識されている場合も、当然、回答に入る、多分に含まれていると我々は認識しております。なかなか指標として、そういう意味ではきれいに測りにくいものですから、それで一定程度の判断をしたいと思ったところでございます。非常に不十分なお答えなのは自認しておりますけれども、よろしくお願いいたします。

○野川委員
 この施策目標の下の施策の概要に、「集団的労使関係法制の普及啓発を図ること」とありますでしょう。したがいまして、憲法秩序の下で、あるべき労使関係の姿というのはきちんと明確にされているわけです。もしこういう指標、つまり労使関係が安定的に維持されていると思うかという指標が意味を持つとすれば、この啓発とリンクした場合です。つまり、日本においては団結権、団体交渉権、団体行動権が保障され、例えば争議行為を打っても正当なものであれば一切の不利益な取扱いをしてはならず、いいですか、それから1銭の損害賠償も請求してはならないのだと、そういうことになっている。こういうことを踏まえて、お宅では労使関係が安定していると思いますかと、こういうリンクの仕方であれば意味がありますけど、それをリンクしないというのであれば、今のお答えだと、ある意味では違法な労使関係でも、安定していてプラスに評価されるのかということになりかねない。
 そうじゃないですか。だって、今、私が先ほど指摘したような労使関係というのは実際ありますよね。労働組合は団体交渉権を放棄し、争議権を放棄し、ひたすら会社の第2人事部としてだけ行動しているという関係。そういう場合にも、今、おっしゃったことであればプラスに評価されるということになりますね、当事者はそれでいいと言っているからと。一番最初に申し上げたように、労使関係は人間関係と違うんですよね。当事者が、私たちはこれでいいと思っているよねということで安定しているということにはならない。もし私の言っていることが間違いであれば、どなたかおっしゃってください。

なので、最後に申し上げますと、この集団的労使関係法制の普及啓発を図るという施策の概要の中にちょうどありますから、これと是非リンクさせた形で、分かった上で本当に安定していると思っているのかというのであれば意味があるので、ちょっとそれを御検討いただきたいということです。

○労政担当参事官室参事官
 分かりました。ありがとうございます。おっしゃっていることはもっともだと思いますので、本来の労使関係の在り方を踏まえた上でちゃんとそう認識されているかというのが、どう把握できるかは研究してまいりたいと思います。ありがとうございました。

○高橋座長
ありがとうございます。調査デザインというのは、なかなか主観的データの扱いというのが、その前提となるモデルとの関係があるという、これは単なる今の指標の問題だけではない御指摘だと思います。これは後ほど是非、整理してお伝えいただくとよろしいかと思います。
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# by tomzoy | 2016-07-05 12:15

パワハラ配転で従業員を支配する食品会社(北九州市)の件

 惣菜の製造販売を行う東洋食品株式会社(福岡県北九州市)で、1年4カ月の間に5回の配転・異動命令を受けたうえ解雇された元社員が、解雇撤回の裁判を起こした。

※東洋食品株式会社(福岡県北九州市)
http://www.hanasaki.com/p02.html
(似た名称の企業多数あり。HPには経営上層部が交替した2012年以降の情報は掲載されていない。求人は活発におこなっている模様)

同社では従業員への不払い残業、会計操作、在庫隠しなどが横行し、従わない社員に懲罰的な配転を強要しているという。原告は「多くの従業員がつらい目にあっている。悪質な労働環境を社会的に訴えたい」と訴訟動機のコメントを、メディアによせている。

東洋食品株式会社はスーパーマーケット内のスペースで惣菜の製造販売を行っている。西日本を
中心に全国で約250店舗を展開し、取引先にはイオンやコープ、エレナ、サンリブなど大手スーパーが並ぶ。主要取引銀行は大分銀行、西日本シティ銀行、みずほ銀行、十八銀行。2012年時点の売り上げは147億円、従業員は3251人。

原告は別の食品会社で26年勤めた後、10年に入社。ベテランの営業社員として、多いときは20店舗以上を担当してきたという。

●モノ言う社員は「配転」
 配転の強要が始まったのは、13年12月に会社の上層部が変わってからとのこと。その2カ月程前にパワハラの事実を訴えていた原告は、「標的」となる(上層部が変わる前から、ブラック企業であったということでもある)。
 当時会社からは、引き続き大分エリアを任せるので事業所の近くへ一家で引っ越してほしいと要望され、原告の配偶者は仕事を辞めることになった。ところが急に広島へ配転命令を受け、大分の話もなくなった。同社ではそれまで、本人の同意なく転勤を強いることまではなかったという。家族の人生も振り回される命令を受けるべきか迷った末、この時は従ったそうだ。

 しかしその後15年4月までに、広島→山口→福岡→地域内異動→佐賀と5回の配転・異動命令(表)。5回目の命令を受けた際、3月に加入していた労働組合(北九州地域一般)を通じて命令取り消しの団体交渉を申し込んだが、回答のないまま着任日の翌日早朝に即日解雇された。その後の団交でも会社側の姿勢は変わらず、原告は、16年4月に解雇撤回を求め提訴に踏み切った。

こうしたパワハラで解雇や退職に追い込まれた被害者は、既に20人近くに上るという。会社にとって都合の悪い社員には転勤を迫って退職に追い込み、会社に従う者だけが残る。そうしたいびつな労務管理の背景には、常態化する違法行為があったとされる。

●不払い残業による搾取
 同社の労働時間管理は、マークシート式の出勤表に本人が手書きで記入する形式になっている。しかし実際には何時間残業しても、契約書通りの出退勤時刻を記入するよう指示が出ているという。例えば5時間契約のパート労働者は5時間分のみを記入。営業社員は繁忙期で休みがとれず残業が長時間に及んでも、出勤表にはきっちり1日8時間、月8~9日の休日を記入させられている。

 報道によれば、ある店舗での実際の労働時間が書かれたメモによると、4~5時間契約のパート労働者は、最長の人で一日当たり7時間以上、平均でも6時間勤務していた。毎日パート労働者全員が約2時間不払い残業をしている計算になる。店舗担当の営業社員も、休みは月4日程度しかとれていなかった。

原告は、こうした実態を労働基準監督署に申告し何度も足を運んでいるが、実効的な是正指導には結びついておらず実態は改善されないままだ。労働基準監督官は、いったい何をやっているのだろうか。なぜ、動かないのか。

 各店舗での不払い残業代は、膨大な額に上る可能性がある。会社は昨年11月、過去2年間分の未払い残業代の請求権を従業員に放棄させる内容の「示談書」を作成し、営業社員にサインするよう求めたという。
 原告に加え、在職中の営業社員など4人が原告となり、15年12月、同社を相手に未払い残業代を求めて福岡地裁小倉支部に提訴。現在裁判が進められている。
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# by tomzoy | 2016-06-23 11:35 | 働くこと・労働組合

安倍政権はタクシー業界労使の要請を蹴りライドシェアを認めた

第190国会の会期末、安倍政権は、国家戦略特区法の枠組みを使い、従来禁止されていた白タクを合法化した。一時期、成立まではいかないかとも思われたが、トヨタがウーバーと提携したことが、法制定の背中を押したのではないかと思われる。危機感をもった全国ハイヤー・タクシー連合会は、ライドシェア問題対策特別委員会を設立した。

以下、バス・タクシーの専門情報紙トラポルトより転載

全国ハイヤー・タクシー連合会(富田昌孝会長)は6月8日、東京都千代田区の「自動車会館」で、6月度定例正副会長会議を開いた。冒頭、富田会長は5月度定例正副会長会議で設立を提起した特別委員会に触れ、「皆さんの意見を参考に設立する。ネーミングについても意見を聞きたい」との考えを示した。

特別委員会は、「ウーバー、リフトのライドシェアシステムの研究」「タクシーサービスの更なる高度化策の検討――スマホ配車システムの普及促進等」「自・公・民のタクシー議連との連携及び国会議員への根回し」「国土交通省、警察庁、厚生労働省との連携強化」「労働組合との連携強化」「個人タクシー業界との連携強化」「バス業界との連携強化」「マスコミへの発信」「消費者団体への発信」「地方自治体への発信と連携強化――特措法に基づく地域協議会の活用、乗合タクシー事例集の充実と普及促進等」「全国タクシーガイドへの全事業者搭載達成と提供サービスに関する発信情報の充実」などを掲げている。

構成案には、委員長に富田昌孝・全タク連会長、委員には、川鍋一朗副会長、川野繁副会長・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員長、伊藤宏副会長・総務委員長、田中亮一郎副会長・地域交通委員長、樽澤功・交通安全委員長、主査には、佐藤雅一・経営委員長、武居利春・労務委員長、川村泰利・技術環境委員長、漢二美・ケア輸送委員長、藤原廣彦・広報サービス委員長――の名前が連れられている。

富田会長は特別委員会の設立趣旨について、つぎのように語った。

政府はシェアリングエコノミーの推進をライドシェア推進の隠れ蓑にしている。ライドシェアは世界70カ国に広がっていることが背景にある。この動きが活発化し、マスコミは国内で白タクが合法化されて当たり前だという論調だ。行政側にもプレッシャーをかけ始めている。

これに対し、タクシー議連、国交省など皆さんの意見を聞くと、「ライドシェアは安全面が危ないと強く言うべきで、この広報をどんどんやるべき」というものが多い。マスコミの力が強いので、これをどんどん言わないと、「安くて、皆が重宝に使えるからいい」ということになってしまう。

一般の国民は安全面まで考えていないので、我われが「危ない」と言わなければならない。私たちのタクシーサービスには長い伝統があるが、ここで立ち止まり、「今のままでいいのか」と考えなければならない。

ライドシェアはいろいろなサービスをやっている。これに対し、私たちはそれに限らず、いろいろなタクシーサービスをやっていかねばならない。国交省の「新しいタクシーのあり方検討会」で答申がでた。この答申に添い、利用者の立場に立ってタクシーを少しでも良くしていくことが、ひじょうに大事だ。ライドシェアを乗り超えるような良いことをやっていくための参考にしていけばいいのではないか。

また、ライドシェアを推進する陣営にも、答申にも書いていないことが結構ある。どういうことをやれば利用者に喜んでもらえるのか。そのようなことを、特別委員会で論議していきたい。

本日、話したいことが2つある。1つは、特定地域指定の問題。改正特措法は、何のために作られたのか。やはり運転者の賃金を正常化させ、利用者の安全を確保するのが基本だ。タクシーは、バス、トラックと比較すると賃金が安い。今でさえ人手不足なのが、どんどん離されていく。特定地域に指定された地域または候補の地域は、頑張って少しでも良くなるよう努力してほしい。

私たちの置かれている状況は、ひじょうにたいへんで、人手不足が蔓延している。タクシー業界は、バス、トラック以上の人手不足に陥っている。特定地域を利用して、少しでも人手不足をカバーできれば、と思っている。

5月19日に産業競争力会議があり、ライドシェアの検討会を開くとされている。タクシー業界としても、何か対応を考えねばならない。そこで、特別委員会の設立提案をした。業界は、政治面で国会の先生方の世話になっており、坂本克己・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会本部長にはお世話になってこれまできている。これについては、坂本本部長を中心に、今後とも活動を続けていきたい。

過疎地の問題では、京丹後で安居早苗・京都府タクシー協会会長にご苦労いただいたが、京丹後にウーバーが滑り込んでおり、これがどのようになっていくのか、危機感を持って見守っている。京都の皆さんには何とか、ウーバーが出ていくような努力をしてほしい。

全国の過疎地があるところでは、このような問題が起きないよう、自治体とよく相談し、協力し合いながら、タクシー業界で移動問題について取り組んでいかねばならない。これが、ライドシェアから業界を救う大きな柱になると考えている。重視して頑張ってほしい。

これについては、田中亮一郎副会長(九州乗用自動車協会会長)担当の地域交通委員会でお世話になっているが、リーダーシップを取りながら、対策に取り組んでほしい。

特別委員会の内容は、「タクシー業界はこのようなことを利用者のためにやろうとしている」という花火を上げ、広報し、それに向かって我われが頑張っていくことが、どうしても必要になってきた。

我われは地味で、宣伝がうまくないが、ライドシェアを推進する人たちは、実に広報がうまい。ここで、我われが一致団結して、頑張って世間に訴える。

活性化の問題は、特別委員会でやることだが、「タクシー革新プラン2016 ~選ばれるタクシー~」に内容が出ている。これを丁寧に一つひとつやっていく。

また、ライドシェアは、「このような点がタクシーよりも優れている」と言っているが、それを全部検討すると、我われの業界でほとんどのことができる。特別委員会で、何ができて、どのようにするのか、方法の検討をしていただく。その特別委員会をぜひ、設立したい。東京タクシーセンターには、両者に属さない問題がたくさんあり、こうした小さな声を生かすのが大事になる。

「トヨタ、米ウーバーに出資へ 戦略提携検討」という題字が5月25日付・『日本経済新聞』で躍った日、豊田章男社長と全タク連で1時間話をした。

話を聞いていくと、ある意味では理解できるが、ある意味では理解しがたいという問題がかなりある。実際にはそうではない。これから発展していったらそうではない、という問題がかなりある。最後には「豊田章男を信用してほしい」というひと言で終わってしまったが、1時間の会談の中で、何回も「私を信用してほしい」という言葉を聞いた。

私は、「一応信用して頑張っていきたいが、ウーバーとタクシー業界は戦争をしている。その敵に塩を送るようなことは、どうしても許せない」と伝えた。

豊田社長は「タクシー業界と一体化して、このタクシー業界をよくしていく。利用者の安全・安心を確保していく。そのために、全面支援する」と言っていた。

具体的にどのようなことを言っているのか、ということについては、今後のトヨタ自動車と業界との間で行われる打ち合わせ会(定期的に開催。初回は7月末予定)で行い、合意が取れれば、それを発表していく。

また長崎県タクシー協会会長の川添一巳・前会長がマスコミにいろいろな発言をしていて、たいへんな支援をしていただいた。思いきったことをおやりになったと嬉しく思っている。議連でも話題になっている。これだけの評価を受けるなら、これを2つ、3つ、4つ、5つとやっていけば、タクシー業界の評価が高くなるのではないか。

宮城県タクシー協会の佐々木昌二会長が2種免緩和を要請している。何年もの間、これを叫んでこられたが、ようやくこれができるようになる。期待するほどの内容にはならないかもしれないが、ステップを踏んで少しでも前進すれば、業界は大いに助かるのではないか。

福岡市タクシー協会の中井眞紀会長は沖縄のレンタカーの問題等で石井大臣に陳情している。地方の皆さんが陳情に来るのは、たいへんいいことだ。力が結集すれば、私や理事長がやるよりも大きな力が発揮できる。
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# by tomzoy | 2016-06-16 13:32

IBMの乱暴な解雇に対し、東京地裁は「解雇無効」と

日本IBMが行った解雇に対し、無効を訴えた社員5人の裁判の東京地裁判決がでた。
IBMの解雇の手法はきわめて乱暴で、その日のうちにIDカードもとりあげ、会社から放り出して、その後のアクセスを途絶するため、ロックアウト解雇と呼ばれる。約50人が犠牲になったが、ほとんどは泣き寝入りしている。以下は、朝日新聞:千葉雄高 北川慧一記者)2016年3月28日20時22分記事より。


日本IBM(東京都中央区)の社員5人が「業績不良」を理由に解雇されたのは違法だと訴えた訴訟で、東京地裁は3月28日、5人全員の解雇を無効とする判決を言い渡した。吉田徹裁判長は「解雇権の乱用だ」と述べ、解雇後の給与の支払いも命じた。

 同社では2012年以降、業績不良を理由とする解雇が相次ぎ、弁護団によると、他にも6人が同地裁で争っている。今回の5人は43~59歳で、営業やシステム運用の業務をしてきた。弁護団は「名目は個々人の業績不良だが、実質は会社のリストラだった。『解雇は自由だ』とする米国流の手法に、歯止めをかける判決だ」と評価した。

 判決は、5人に一定の業績不良や問題行動があったと認める一方、「適性のある業種に配転したり、解雇の可能性を伝えて業績改善の機会を与えたりせずに解雇した」と指摘。同社が根拠とした評価方式については「あくまで相対評価で、低評価が続いても、解雇に足る業績不良と認められるわけではない」と述べ、解雇は無効だと結論づけた。

 日本IBMは「主張が認められず誠に遺憾。判決を精査し、今後の対応を検討する」との談話を出した。

■「解雇自由にする流れにくさびを」

 日本IBMは12年以降、上司がこんな書面を読み上げ、突然、その日をもって原告らの出社を禁止した。「貴殿を解雇する。業績が低い状態が続いており、様々な改善機会を提供したが改善はなされず、もはや放っておくことはできない」
原告側によると、こうして解雇を通告された社員は約50人いる。

日本IBMは社員を5段階で評価。低い方の二つの段階には社員の5~15%が入っていた。同社は、評価が2年連続で低い二つの段階だったことなどから、業績不良としていた。しかし判決は、原告らが長期間雇用され、配置転換された経験があり、比較的高い評価だった時期もあることなどを理由に、解雇は無効だと判断した。

 「相対評価が低くても解雇理由にならないことが、能力主義の会社でも明確にされた」。原告側の代理人弁護士はこの日の判決の意義をこう強調した。

 これまでの裁判例でも、長期雇用で働く人の場合、業績が平均的な水準に達しないという理由での解雇は無効とされてきた。新卒採用でずっと同じ会社で働く人の利益を考慮してきたためだ。今回の判決も、そうした日本の雇用慣行を踏まえた。

 第2次安倍政権では、解雇ルールの緩和を目指す動きが目立つ。産業競争力会議で経済界の代表が解雇自由化を主張したり、解雇ルールを緩めた特区構想が提案されたりした。いまは、裁判で解雇が不当とされた働き手に会社がお金を払って退職させる「金銭解決制度」の導入が検討されている。原告を支援する労働組合幹部は「業績が悪い社員は解雇できる流れが作られようとしている。解雇を自由にする流れにくさびを打ちたい」と話した。(北川慧一)
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# by tomzoy | 2016-04-01 16:00 | 働くこと・労働組合

安保関連法案は廃案にせよ

安倍政権は、安保関連法案を今週中に処理しようとしている。安倍氏ら官邸のメンバーや、その背後にうごめく軍事利権の関係者たちは、国民の無知と無関心を確信している。一部の反対の声は一過性のものだと考えている。だから、安保関連法制の強行採決に、安心して踏み切ることができるとみている。

なんとか止められないものか。
安保関連法案は、憲法学者や元裁判官らのほとんどが違憲だと指摘している。憲法と立憲主義を、時の権力者が独断で踏みにじることを可能とする前例を、許してはならない。これらの法案の成立は、戦後の日本の歴史上大きな転機となるだろう。だれもモノが言えない不自由で非民主的な時代がやってくるだろう。「自由民主」党と平和が売り物の公明党の暴走によって。

日本の安全保障のために、GHQに押し付けられた憲法などに縛られるべきでないという意見もある。それを支持する国民もいる。そういう人は国会質疑の記録を読め。安全保障上の役に立てるための根拠として、安倍首相が言ってきたことはすべて素人騙しのゴマカシである(ホルムズ海峡封鎖対応や米艦船による日本の民間人保護、となりの家を襲う暴漢を救いに行くなど)。つまり立法事実(この立法が必要であるという根拠)がない。国民の支持をえるために、言い立ててきた「建前」「売り文句」はすべて嘘なのだ。

この法案は、日本の安全保障のためのものではない。アメリカの戦費調達を肩代わりし、軍需産業を儲けさせ、国外に常に敵国をつくることで内政における権力の暴走・逸脱から国民の目をそらしたい、独裁国家的手法を好む政治権力者を守るためのものだ。安倍首相は実は、日本の安全保障に無頓着だ。例えば、中国の脅威を、安倍首相はよく口にするが、最前線ともいえる尖閣諸島(中国名:釣魚島)への対処をずっと放置してきた。海洋進出を活発化する中国への監視を強化し、南西諸島の実効支配をアピールするため、与那国島に自衛隊の基地建設に着手したと発表したのは、今年の4月のこと。それまで何をやってきたのか?現行法体系のもとでできることをしなかったことに示されているのは、安倍首相の頭の中。そこには日本の安全保障でなく、自分のやりたいことだけしか詰まっていない。

また、この法案は日本の安全保障のためにもならない。それを、安倍支持者は理解すべきだ。この法案は、他国のしかける紛争・戦争にわざわざ関わりに行くことを可能にする法案であり、日本を戦争に巻き込ませるためのものである。今の日本国憲法の元で中立を維持していれば、停戦に向けた仲介もできるが、片方に肩入れすることで戦争の当事者になり平和構築の外交もできなくなる。紛争下での人命救助や人権保護のために活動する日本のNPOの活動も危険に晒すことになる。日本国憲法のメリットを殺すことになる。

なぜ、戦争にかかわりたいのか。日本経団連の中の軍需産業トップの経営者たちが、我慢できずに提言を出し、明快な答えを示してくれている。軍需で儲けたい大企業があり、政治家はその声に忠実なのだ。消費税増税で増やした歳入を、社会保障ではなく、軍需産業を太らせるために使う。利益の一部は政治家の懐にも入る。あなたの収めた税金は、そのように使われる。

しかも、日銀は、黒田という人物によって既に変質させられている。戦費調達を、当面国債でどんどんまかなっても、それを当面は日銀が買い支え、最後は国民にツケまわしする。太平洋戦争に突入した際の戦費調達のあり方を反省し、戦後はやってはならないとして財政法で禁止した手法(「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない」第5条)を、すでにアベノミクスは踏み超えて実践している。

自衛隊、安倍首相がすでに我が軍と呼んでいるーこの軍と、産業が癒着する「軍産複合体」が力をもつと始末が悪い。原発利益共同体を解体できないことからも類推できるだろうが、あれよりはるかに恐ろしい権力をふるうだろう。アメリカが悪い例だ。死の商人が政治を動かし始めるということだ。

こうなると日本経済は民需中心に発展できなくなる可能性もでてくる。軍需品は経済波及性のない死の「奢侈品」だ。民生の技術発展も停滞する。人々の生活水準はますます低下するだろう。


秘密保護法で国民の知る権利も、インサイダーによる良心に基づく情報提供も、マスコミによる取材も、重罰つきの制限が既にかけられている。

これだけ、権力の暴走の方向性が明確なのに、日の丸を振って、安倍を称賛する人がなお多数いることは驚きだ。権力の暴走がわかっていながら、日常生活に安穏とひたって、シールズの学生は生意気だとか、国会前の行動は品がないとかテレビやPCの前で傍観者でいる人が多数いることには呆れるほかない。

繰り返すが、安倍氏ら官邸のメンバーや、その背後にうごめく軍事利権の関係者たちは、国民の無知と無関心を確信している。だから、安保関連法制の強行採決に、安心して踏み切れるとみている。

あなたは、それでいいのか?バカにされているのに、それを甘受するのか?やれるだけのことを、今やらないと後悔することになるのではないか?
国会を傍聴しにいこう。国会前に行こう。自民、公明、元気の政党本部に、各議員に、抗議のメールやファックスを寄せよう。他の政党には、廃案に向けて徹底抗戦するよう激励のメールを送ろう。主権者として、できるだけのことを、できるうちにしよう。

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# by tomzoy | 2015-09-16 12:28 | 社会・時事



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